心に噺がおじゃましまっす!

心の端にそっと置いてもらえるような物語を目指して書いています。

会話研究部

会話研究部 第6話 ~師匠と呼ばれた猫~

私は土産屋の前で丸まったまま考えていた。学は土産屋の店主と何やら会話して帰ったところだ。 学とは小さな公園で出会った少年だ。何やら悩みがありそうだったので、私の特技を生かして美味しい刺身をもらおうと思っているところだ。 私は野良猫だが、そこ…

会話研究部 第5話 ~休日の師匠と僕~

朝ご飯を食べてすぐに僕は家を出た。坂の上の神社へ行くためだ。そこの神社は昼になると人がごった返すのでなるべく早めに行きたかった。せっかく神社に行くので少しばかりの小銭と本を持った。今日は見事な五月晴れだった。今日もたくさんの人が神社を訪れ…

会話研究部 第4話 ~会話発生原理~

明日は高校入学して2度目の週末ということもあり、新しい友達ができた人たちはなにやら遊びに行く話で盛り上がっていた。もちろん僕はそんな事とは無縁で、そそくさと部室へ向かった。 部室へつくといつも通り窓を開け師匠を出迎えた。「今日は週末だったな…

会話研究部 第3話 ~良い聞き手とは~

今日も部室の窓を開けると師匠が入ってきて授業が始まった。「さて、昨日は無口と聞き手は違うという話までだったな。では、今日は良い聞き手とは何かについて話そうかね。そう言えばまだ学とは呼び方以外あまり話したことはなかっただろう。手始めにテーマ…

会話研究部 第2話 ~会話とは何か~

「ではさっそく授業を始めるとするかね」師匠は僕が用意しておいた座布団の上にちょこんと座ると僕の目を見て話し始めた。「さて学よ、そもそも会話とは何か分かるかね?」いきなりおおざっぱな質問だった。なんだろう? そう言われると分かっているようでも…

会話研究部 第1話 ~出会い~

僕は公園のベンチに独りで座り、ぼーっとしていた。目の前にはきれいな夕焼けが広がっていた。その公園はとても小さく、ベンチ以外には雑草が生い茂った砂場と苔の生えた土管が横たわっているだけだった。僕はその公園を勝手に『ぼっち公園』と名付けていた…